築年月の経った古民家の材料を最大限に利用しながら、新しいライフスタイルに適応する現代住宅として蘇らせる古民家のリフォーム。古民家再生とも呼ばれ、高齢化の増加に伴う空き家問題を解決する方法としても、近年注目を集めている住宅です。今回は、補強工事や機能性のアップグレードだけでなく、古民家独自の良さを惹き立てる古民家再生のヒントについてご紹介していきます。
古民家リノベーションでは、断熱工事を施すと同時に、低い天井を取り払い希少価値のある梁などを見せた高い天井空間がつくられます。伝統的な日本住宅の田の字の間取りに、より開放感を与えてくれます。長い年月を経てしっかりと生き続けていた立派な梁の風合いがオンリーワンの居住空間を演出してくれます。
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寒いといわれている伝統的な日本住宅。耐震基準や防火構造を確認し補強や改修を行えば、薪ストーブを設置することが出来ます。古民家リノベーション時に薪ストーブを導入するならば、土間や以前囲炉裏のあった場所がおススメです。その際は、床の補強や床面の断熱をしっかりしておくことが大切です。
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現代的な日本住宅は、天井も壁も真っ白なクロスが張られ、光が反射され全体が明るくなります。一方、古民家は落ち着いた色の天井や壁によって部分的に影が出来ます。また田の字の間取りは、外周にのみ開口が設けられるので居住空間の中心が暗くなるという問題があります。こちらは古民家再生によって、縁側にL字の大き開口部を設けることで、開放感や暗さ解決だけでなく、季節や時間帯によって移り変わる古民家独自の陰影の美が楽しめます。
【住まいについては、こちらの記事でも紹介しています】
伝統的な日本住宅は、畳の敷かれた田の字の間取りですが、古民家リノベーションによってフローリング敷に変えることも可能です。古民家住宅に合う木材と言えば、杉・桧・などが人気です。例えば、杉・桧・栗などは経年で美しい飴色に変化し古民家住宅に馴染んできます。
古民家では、玄関や勝手口などに土間が設置されていることが多くあります。現代的な日本住宅の玄関とは異なり、来客と歓談できるような割と広いスペースが確保されていることが多いです。家の入口となる玄関には、是非、古民家再生では伝統的な日本住宅の佇まいを残しましょう。
古民家リノベーションでは、日当たりの悪さを改善することが重要になります。古い日本住宅では、日当たりの良い南側に十分に開口部が設けられていないため、室内が暗いといった問題があります。しかし居間を南向きの位置に設けるためには大規模改修になってしまうことも。古民家リノベーションでは、例えば坪庭やトップライトを上手く利用した採光の確保、回遊性のある間取りで明るい居住空間をつくることが出来ます。伝統的な日本住宅らしい坪庭は住まいに風情を与えてくれます。
長く大切に住み継がれてきた家を、佇まいはそのままに、これからも永く住み続けられるように機能を上げて再生する。そのために、こちらは珍しい曳家を行っています。曳屋とは、建築物をそのままの状態で移動する建築工法です。日当たり改善のための建物回転としても利用される工法です。建物のそのままの姿を維持できるだけでなく、移築工事より早く、また廃材が出にくいためエコロジーな工事だと言えますね。
引き戸タイプの玄関や昔ながらの切妻屋根などを活かしながら、伝統的な日本住宅デザインにある質感や温かみを感じさせる落ち着いたカラーをベースに外観を仕上げてみましょう。こちらのように黒といったモノトーンカラーは、よりモダンな佇まいを外観に与えることが出来ます。
古民家リノベーションと一緒に、和庭を魅力的にデザインしましょう。伝統的な日本住宅は、室内と屋内の繋がりが感じられるのが魅力です。和庭はライトアップすることで、室内から見える夜の景色をより雰囲気ある美しいものにデザインすることができます。