生活が西洋化したとはいえ、畳や縁側、障子など和風のものは、どこか私たちをほっとさせます。伝統的な日本家屋のような、すべて和風とはまではいかなくとも、少し和のテイストを取り入れた住まいにしたいと思っている方は多いことでしょう。そこで今回の記事では、和の要素を取り入れた、素敵な住まいをご紹介したいと思います。
京都府の建築工房 AT EASEが設計を手掛けたのはこちら、陶芸をするための工房を備え持った住宅です。和とモダンな要素が見事に融合した、インパクトのある外観ですね。南北に長い形状のボユームを抑えるため、建物を3つに分割したような形状が用いられ、ガルバリウム鋼板を2色使いとすることでそれがより明確になっています。バルコニーの手すりに木板を用いることにより、無機質になりがちな金属板の外壁に、柔らかさとアクセントを与えています。玄関扉や2階のバルコニーへの窓枠は、和風な雰囲気を作るのに一役買っています。ライトアップされた姿も、洗練されていて、思わず魅入ってしまいそうですね。西側には生駒山を望むパノラマが開けています。
洗練された雰囲気を漂わせるこちらのお住まいは、向かって右側が洋風、左側が和風と、テイストがくっきりと分かれています。けれども違和感を感じさせないのは、黒や赤などのアクセントカラーが左右両方の空間にバランス良く用いられているからでしょうか。黒地の襖に描かれた花が、はらはらと零れ落ちるような、繊細なデザインが、観るものを惹きつけます。そしてその下には朱色が効果的に用いられています。和室の部屋が、何も置かなくてもそれだけで美しいのは、襖絵などの工芸品に加え、精緻な造りのためでしょう。
生け花や、掛け軸などを飾る床の間。最近の住宅では、和室であっても取り付けられることが少なくなりました。しかし、逆の発想で、洋室の出窓をモダンな床の間にアレンジさせたのがこちら。プリーツ式の和紙長スクリーンを入れて冊子を隠し、柔らかい後方からの光で床の間を素敵に演出しています。何かを飾るためだけに作られた空間というのは、生活にゆとりを感じさせますね。
築110年の古民家を現代の暮らしに合った、快適でモダンな空間にリノベーションしたのがこちら。リビングの天井に渡された太い梁は時代を感じせますが、床はフローリングとモダンなイメージで、ソファやローテブルのような、洋風なインテリア家具との相性も良いですね。シンプルな照明器具も、和モダンの雰囲気を演出するのに一役買っています。
家に和室がないと、時々畳が恋しくなる方も多いのでは?最後にご紹介するのは、斬新なデザインがユニークな、こちらの畳部屋。ダイニングキッチンから少し下がって半地下のように配置されたリビングスペースです。伝統的な和室ではないものの、畳が違和感なく用いられており、床材としての畳の可能性を考えさせられる空間です。和室が無いからと、畳を諦めなくても良さそうですね。畳はフローリングよりも熱を伝えにくいので、夏の省エネにも繋がりますよ。